-地中熱利用について-
こんにちは。技術部 神村です。近頃は梅雨を思わせるような天気が続いたと思ったら五月晴れの青空が広がるなど、落ち着きのない天気が続いています。
そんな中、私は久しく会っていなかった従兄に会ったり、ご無沙汰していた叔母の家へ伺ったり、比較的活発な暮らしを送っています。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、昨年の震災以降、省エネとか創エネの意識が高まっています。中でも、太陽光パネルによる自家発電は急激に増加しています。最近では軽量なものも開発されて、既存住宅への普及も広がりそうです。
個人的には、地域特性によっては太陽光だけではなく、風力や水力も上手に活用する事が望ましいのではないか、と考えております。
しかし、風力も水力もまだまだ身近ではないように思うのは私だけでしょうか?それに比べて、井戸水はぐっと身近な存在のように思います。
この井戸水、最近注目されているようです。ちょうど日経ホームビルダー6月号にも掲載されていますが、5〜6mも掘れば、災害時のお風呂やトイレ用の水を確保することは容易です。
もちろん、地形によっては浅い井戸が確保できない事もあります。しかし、日本の典型的な沖積平野であれば、比較的浅い深度でも地下水を継続的に取り出す事は容易だと考えられます。
私は井戸水を災害時用だけに取っておくのは勿体ないと思います。
以前私が勤務していたビルダーでは、高気密・高断熱の住宅を作っていましたが、屋根材にガルバリウムを使用していた事、天井を設けず構造表しにしていた事もあり、夏場の屋根の過熱が住居内温度を上げてしまう傾向にありました。
これを解消する為に、社長が考えたのは屋根への散水でした。細かい計測結果は忘れてしまいましたが、散水によって屋根材を冷却する事で住居内温度の上昇を相当抑制していたように記憶しています。住居内温度の抑制は冷房効率の向上にもつながるのです。
このような効果を得られるのも、地下水が年間を通してほぼ一定の温度である為です。
地下水温が一定であれば、地下の温度も一定です。地下の温度は地下5mまで潜れば年間を通してほぼ一定で、平均気温より1〜2度程度高いそうです。
一方、地上は、夏は40度近く、冬場は氷点下になる地域もあります。この温度変化に対応する為、地上では冷房をしたり暖房をしたりしているのです。
しかし地下5〜6mでは、年間を通して過ごしやすい温度が確保されているのです。この環境を利用するのが“地中熱利用”です。
地中熱利用については私もまだまだ勉強中ですが、大きく分けると、地中熱ヒートポンプシステムのように温度が一定の地中熱と熱交換を行うものと、地盤を蓄熱体として利用するシステムとに分類されるようです。
後者は前者に比べて規模が相当大きくなるようで、住宅規模での適用では前者による地中熱利用が一般的だと言えます。こちらの地中熱利用でも密閉型や開放型のように幾つかの種類があるようですが、いずれも住居内の温度を地中熱や地下水を使って熱交換するものです。
2004年頃から急激に普及し始めているようです。冷暖房の効率がよくなる事もさることながら、エアコンの排熱が出ない為、ヒートアイランド現象やそれに付随すると言われるゲリラ豪雨の抑制にも一役買えそうです。
これまで、地盤は住宅を支えるものとしてしか評価されてきませんでした。しかし地下水利用や地中熱利用が普及すれば、地盤は設備の一部として評価されるようになるでしょう。
そうなれば、これまでの評価方法だけでは地盤の性能を評価できないので、新たな評価手法の構築が必要になると考えられます。
私たち地盤技術者は新たな進歩を求められているようです。
【参考文献】北海道大学地中熱利用システム工学講座(2007)『地中熱ヒートポンプシステム』(オーム社)165pp
技術部 神村真
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